伝説のフリーソロ
【フリーソロクライミングとは】
フリーソロクライミングとは、命綱を使わずに自らの手足だけで険しい岸壁を登るエクストリームスポーツです。
たった1人で安全確保器具もなく登るため、一度でもミスをして転落すれば死に直結します。
険しい岸壁を登る身体能力はもちろん、長時間登り続ける精神力、難所にも恐れない度胸、臨機応変に対応する豊富な経験が必要です。
そんなエクストリームな登攀に挑戦し、伝説を残す勇気ある人たちがいます。
伝説となったフリーソロの舞台とクライマーを紹介します。
【ロッククライミングの名所 エル・キャピタン】
エル・キャピタンは、アメリカのカリフォルニア州、ヨセミテ国立公園内にある花崗岩の一枚岩です。
高さは約900m、花崗岩の一枚岩としては世界一の大きさです。
現在は70以上のクライミングルートが出来ていて、ロッククライミングの名所、より難しい山に挑むための練習場所として多くのクライマーが挑戦しています。
そんなエル・キャピタンにフリーソロで挑んだクライマーがアレックス・オノルドです。
挑んだルートは主要ルートの1つの「フリーライダー」、普通にロープを使用して登頂に成功してもニュースになるほどの難易度です。
その岸壁に素手と靴とチョークバッグのみで挑み、3時間56分で登攀に成功しました。
時間にすれば4時間弱ですが、オノルドは1年以上かけて様々な場所でトレーニングに励んできました。
身体能力に関して言えばオノルドと同等のクライマーは存在しますが、すぐ身近にある死の恐怖をコントロールできるのはそうそういません。
恐怖という感情に対してオノルドは、「恐怖をしっかりと感じているが、パフォーマンスの邪魔になるから脇に置いておくだけ」と述べています。
【氷壁ウィドーズ・ティアーズ】
ヨセミテ国立公園内の滝、ウィドーズ・ティアーズが凍り、約300mの氷壁が出現します。
滅多に形成されることはなく、とてもレアなポイントです。
2016年にウクライナ出身のクライマー、ヴィタリー・ムシエンコがこの氷壁にフリーソロで登攀に成功しました。
アイスクライミングのためアイスピックを使用していますが、それ以外は使用していません。
「登攀してくれるパーティーがいればロープを使っただろうね」と語っています。
【キアーロ・ディ・ルナを制した女性クライマー】
パタゴニアを象徴する山フィッツロイ、標高は3405mです。
アウトドアブランドのロゴデザインのモデルになったこの山は、威風堂々と佇んでいます。
フィッツロイのルートで762mのルート、キアーロ・ディ・ルナにフリーソロで挑戦したのは女性クライマーのブレット・ハリントン。
登攀にかかった時間は3時間で、このルートを最初に登攀した女性として称賛されています。
フリーソロ挑戦後、「こんな体験は毎日したくないけど、たまに自分のメンタルを試すにはとてもクールだと思う」と語っています。