女子スケボ界の第一人者西村碧莉選手
持ち前の強い精神力と向上心で世界一に
父親と姉二人が経験者という「スケボー一家」で育った西村選手は、幼い頃は特段運動神経が良い訳ではなかったようですが、7歳から自らもスケートボードを始めました。
小学5年生でスケボーの全国大会で優勝し、2016年には「X‐Games」や「SUPER CROWN」といった世界的な大会にも出場し、その名を世界に知らしめました。
さらに、2017年には初開催の日本選手権でチャンピオンに輝き、2019年には初開催の世界選手権でも優勝しました。
西村選手がスケートボードを本格的に始めた頃には、スケボーの大会にはガールズクラスが存在しませんでした。
海外の大会でも出場者150人中女子は1~2人という場合がほとんどで、体格や基礎体力の違う男子選手と戦わばければならない苦しい状況でも、西村選手は果敢に何度も挑戦していきました。
そんな挑戦的な姿勢は、小さな頃の行動にも表れていました。
高い所や木を見つけては登って行ったり、階段の上の方から飛び降りたりと、男の子でも怖がるような事を素知らぬ顔でやってのけていたと言います。
中学生の頃から世界大会に出場する為にアメリカへ渡り、男子の中に混ざって鍛錬してきた経験はスキルだけでなくメンタルの面でもかなり鍛えられ、その後の彼女のスケボー人生における大きな財産となりました。
2017年には、左ひざ前十字靭帯を断裂という選手生命も危ぶまれる程の大ケガに合い、再建手術を受けましたが、その後半年間は練習も出来ませんでした。
しかし、強い精神力で辛いリハビリを何とか乗り越えた彼女は、翌年の世界大会で銀メダルを獲得しました。
その後2020年の東京オリンピックでも、大会前日に大ケガを負ったものの奇跡的な復活を果し、結果8位と今や女子スケボー界で最も有名な選手となりました。
西村選手のプレイスタイル
碧莉選手は、スイッチが入った途端に暴走するように滑りだすのが特徴的です。
彼女はストリートスタイル(ジャンプ台や手すりなどの障害物が置かれたコースで滑る)を得意としています。
中でもスケートボードの金属部分を手すりに乗せて滑る「オーバーKグラインド」という技が彼女の得意技です。
ストリートスタイルは常に怪我と隣り合わせの危険な競技の為、男子でも躊躇する事が多いのですが、西村選手持ち前の強い精神力で高い難易度の技にも果敢に挑戦していきます。
また、「人と違う事がしたい」という強い思いから、技の細部にまでこだわり高い技術を身に付けています。
新しい技に対する意欲も高く、ボードを縦横同時に360度回転させる「トレフリップ」という高難易度の技を身に付けたいと豪語しており、強い向上心を見せています。